洗口液は成分で選ぶべき?
CPC・エッセンシャルオイル・CHXを比較
迷ったらエッセンシャルオイル系(リステリンなどのタイプ)。スペインの研究チームがたくさんの製品をいっぺんに順位づけした比較で、歯垢でも歯ぐきの炎症でも上位でした。ツンとした刺激が苦手ならCPC系(マイルドな製品に多いタイプ)——順位は下でも、成分の入っていないダミーよりはしっかり効きます。クロルヘキシジン(CHX)系は効果が高い代わりに歯に着色が出るので、毎日づかいではなく歯科の指示で期間を決めて使うもの。そして大前提として、どれも歯みがきに「足す」もので、歯みがきの代わりにはなりません。
🔍 この記事のむずかしい言葉(タップで開く)
- メタ解析/ネットワークメタ解析
- バラバラに行われたたくさんの研究を1つに合体させて、全体としてどうかを見る方法。「ネットワーク〜」は、さらに複数の製品をいっぺんに順位づけできるタイプです。
- プラセボ(ダミー)
- 有効成分が入っていない“見た目そっくりの偽物”。これと比べることで、成分そのものの効果を公平にはかれます。
- コクラン
- イギリスを拠点に、世界中の研究を厳しくえり分けてまとめる国際的な団体。信頼度の高いまとめとして知られています。
- 結果のばらつき(専門的には I²)
- 研究ごとに結果がどれだけ食い違っているか。ばらつきが大きいほど「数字をそのまま信じきれない」という意味になります。
成分別の早見表
| 成分 | 研究でわかっていること | 使いどころ |
|---|---|---|
| エッセンシャルオイル系 | 歯垢・歯ぐきの炎症どちらの解析でも最上位 | 毎日のケアに足すなら第一候補 |
| クロルヘキシジン(CHX) | 歯垢を大きく減らすが、4週以上で歯の着色が増える | 歯科医院の指示で期間を決めて |
| CPC(塩化セチルピリジニウム) | 上位2つより下位。ただしダミー(成分なし)よりは有効 | 刺激が少なく続けやすい |
| フッ化物洗口 | むし歯予防で永久歯の歯面が約27%減(別記事) | むし歯予防が目的ならこちら |
※歯ぐきの炎症を見た解析では、CHXは0.10%以上、CPCは0.05%超という濃度の条件つきで上位に入りました。成分名だけでなく濃度も関わります。
「順位」は出たが、差の大きさは示されていない
この順位づけを出したのはスペインの研究チームです。ただし正直にお伝えすると、順位は出ていても、「どれだけ差があるのか」という具体的な数字までは示されていません。しかも研究者自身が「成分によって集まっている研究の数にかなり偏りがある」と認めています。つまり「エッセンシャルオイルがCPCよりはっきり上」と言い切れるほど、材料はまだ揃っていないのが実際のところです。
ブラジルの研究チームがCPCだけをくわしく調べたまとめでも、ダミー(成分なし)よりは良くなったものの、研究ごとに結果のばらつきがとても大きいと報告されています。数字はあっても、そのまま鵜呑みにできる精度ではありません。
イギリスを拠点とするコクランが51の試験・のべ5,345人をまとめたところ、CHX洗口液は歯垢を大きく減らす一方、4〜6週間の使用で歯の着色がはっきり増えたと報告されています。味の感じ方が変わる、口の粘膜がヒリついたり荒れたりするといった報告もあります。しかも歯ぐきの炎症をどれだけ抑えたかについては、コクランの研究者自身が「日常で実感できるほどの差とは考えにくい」としています。強そうな成分ほど良い、という単純な話ではありません。
どの成分の研究も、「歯みがきをしたうえで、さらに洗口液を足す」という設計です。歯みがきとフロスができていない状態で洗口液だけ良いものに変えても、そこは埋まりません。まず歯みがきと歯間清掃、その上で好みの洗口液を足す。順番を守れば、成分はご自身が続けやすいもので構いません。
- 歯垢ではエッセンシャルオイル系とCHX系、歯ぐきの炎症ではエッセンシャルオイル系が最上位
- CPCは上位2つより下位だが、有効成分なしと比べれば有効
- ただし差の大きさは示されておらず、研究量の偏りも著者が明記している
- CHXは着色・味覚変化があり、日常使いより期間を決めた使用向き
- すべて歯みがきに「追加」した研究。代わりにはならない
※本記事は公開されている学術論文をもとにした一般的な情報提供であり、特定の治療・製品の効果を保証するものではありません。気になる症状がある場合は歯科医院にご相談ください。
参考文献
- 1. Escribano M, Figuero E, Martín C, Tobías A, Serrano J, Roldán S, et al. Efficacy of adjunctive anti-plaque chemical agents: a systematic review and network meta-analyses of the Turesky modification of the Quigley and Hein plaque index. J Clin Periodontol. 2016;43(12):1059-1073. doi:10.1111/jcpe.12616. PMID: 27531174. PubMed
- 2. Figuero E, Herrera D, Tobías A, Serrano J, Roldán S, Escribano M, et al. Efficacy of adjunctive anti-plaque chemical agents in managing gingivitis: A systematic review and network meta-analyses. J Clin Periodontol. 2019;46(7):723-739. doi:10.1111/jcpe.13127. PMID: 31058336. PubMed
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- 4. James P, Worthington HV, Parnell C, Harding M, Lamont T, Cheung A, et al. Chlorhexidine mouthrinse as an adjunctive treatment for gingival health. Cochrane Database Syst Rev. 2017;3(3):CD008676. doi:10.1002/14651858.CD008676.pub2. PMID: 28362061. PubMed
出典はPubMed収載の書誌情報にもとづき、バンクーバー方式(ICMJE)で記載しています。