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オーラルケア 2026年7月22日 読了 約5分

フロスはどれを選べばいいの?
ワックス付き・糸ようじ・テープを比較

ドラッグストアのフロス売り場には、ワックス付き・ワックスなし・糸ようじ・テープ状と、いくつもの形が並んでいます。どれが一番よく汚れを落とすのか。実際に比べた研究を、そのまま読んでみます。
先に結論

フロスの種類ごとに汚れの落ち方を比べた研究では、はっきりした差は出ていません。ワックス付き・なし・繊維タイプ・ほつれにくいタイプの4種を比べた研究でも、4種類のあいだに統計的な差はなしと報告されています。一方で差がついたのは「使い心地」と「続けやすさ」のほう。つまり一番ストレスなく毎日使える形が、あなたにとっての正解です。

🔍 この記事のむずかしい言葉(タップで開く)
(統計的に)有意
偶然では説明しにくい、意味のある差だと数字の上で言えること。
出典:Carr MP, Rice GL, Horton JE. Evaluation of floss types for interproximal plaque removal. Am J Dent. 2000 PMID: 11763934

フロスの種類 早見表

種類研究でわかっていること向いている人
ワックス付き汚れ落ちは他タイプと差なし。使う人の好みは多数派歯のすき間がきつく、糸が切れやすい人
ワックスなし汚れ落ちは差なし。使い心地の評価は最も低かったきしむ感触が好みの人
糸ようじ(ホルダー型)手巻きと清掃効果は同等。習慣になりやすい奥歯に指が入りにくい人・続かない人
デンタルテープ(平たい)ワックス付きとの差は統計的に確認されず歯のすき間が比較的広い人
拡張タイプ(部分的に太い糸)テープより成績が低く、選ぶ人も少なかったブリッジの下など特殊な場所

※いずれも参加者20〜30人規模の小さな研究です。「差が出なかった」は「差が絶対にない」という意味ではなく、この規模では差を見つけられなかったということです。

Q結局、どのフロスを買えばいいの?
A
現役歯科医師が回答「一番ストレスなく毎日使える形」を選んでください。研究で差が出たのは汚れの落ち方ではなく、使い心地と続けやすさでした。すき間がきつくて糸が切れるならワックス付き、奥歯まで手が入りにくいなら糸ようじ、すき間が広いならテープ状。まず1つ買って、続かなければ別の形に変える。それで十分です。
数字で見る:差がついたのは「効果」ではなく「使い心地」
上段=Carr 2000(Am J Dent、24人が4種類すべてを使用)の使い心地スコア(10cmの目盛りで評価、高いほど快適)。下段=Beaumont 1990(J Periodontol、100人が両方を試して選択)の選好率。清掃効果そのものは4種類のあいだで統計的な差が確認されませんでした。
6.99
ほつれにくいタイプの使い心地(最高)
4.29
ワックスなしの使い心地(最低)
79%
試したあとワックス付きを選んだ人
使い心地:ほつれにくいタイプ
6.99点
使い心地:ワックスなし
4.29点
選んだ人:ワックス付き
79%
選んだ人:ワックスなし
21%

「ワックスなしのほうがよく取れる」は本当か

フロス売り場で長く語られてきた説に、「ワックスが付いていないほうが糸が広がるので、よく汚れを落とす」というものがあります。これを実際に確かめたのが上の Carr らの研究です。24人がワックス付き・ワックスなし・繊維タイプ・ほつれにくいタイプの4種類すべてを使い、歯と歯の間の汚れの落ち具合を比べました。

結果は、4種類のあいだに統計的な差なし。差がついたのは使い心地の評価で、ワックスなしが最も不快と評価されました。1990年に200人規模で選好を調べた研究の著者も、「ワックスなしが優れているという裏づけのない思い込みが今日まで残っている」と、はっきり書いています。

糸ようじ(ホルダー型)は"手抜き"なのか

指に巻くフロスに比べて、柄のついた糸ようじは簡易版のように思われがちです。ところが30人を対象に両方を順番に使わせた試験では、汚れ・歯ぐきの炎症・出血のいずれも、両群のあいだに差はありませんでした(どちらの方法でも、使う前と比べれば有意に改善しています)。参加者の55%は糸ようじのほうを選びました。

さらに興味深いのが、そのあとの追跡調査です。もともとフロスをしていなかった人のうち、6か月後も週2回以上フロスを続けていた人の85%が、糸ようじ型を使っていました。効果が同じなら、続く形を選んだほうが得ということになります。

種類選びより、はるかに大事なこと

子どもを対象にした研究をまとめた解析では、専門家がフロスをかけた場合はむし歯のリスクが40%減ったのに対し、本人が自己流でフロスをした場合はリスクが減りませんでした。つまり「フロスを買ったかどうか」ではなく「歯の面にきちんと当てられているかどうか」で結果が変わります。どの種類を選ぶかで悩む時間があれば、一度歯科医院で当て方を見てもらうほうが確実です。

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タイプ別に選ぶ 続けられる形から選ぶフロス
ワックス付きデンタルフロス
すき間がきつくて糸が切れる人に。選好率が最も高いタイプ
糸ようじ(ホルダー型フロス)
手巻きと清掃効果は同等。習慣化しやすいのが最大の利点
デンタルテープ(平たいタイプ)
すき間が広めの人向け。ワックス付きとの差は確認されていない
※価格・在庫は各サイトでご確認ください。上記は商品タイプ別の検索リンクです(広告)。特定の商品が他より優れているという研究結果はありません。
迷ったら「続く形」を選べばいい

種類ごとの優劣がはっきりしないというのは、裏を返せば好きな形を選んでいいということです。フロスを毎日している人は3割ほどという調査もあり、最大の課題は種類選びではなく「続かないこと」。奥歯で手がつりそうになるなら糸ようじへ、糸が切れてイライラするならワックス付きへ。変えていいと知っているだけで、続けやすくなります。

まとめ

※本記事は公開されている学術論文をもとにした一般的な情報提供であり、特定の治療・製品の効果を保証するものではありません。気になる症状がある場合は歯科医院にご相談ください。

参考文献

  1. 1. Carr MP, Rice GL, Horton JE. Evaluation of floss types for interproximal plaque removal. Am J Dent. 2000;13(4):212-4. PMID: 11763934. PubMed
  2. 2. Beaumont RH. Patient preference for waxed or unwaxed dental floss. J Periodontol. 1990;61(2):123-5. doi:10.1902/jop.1990.61.2.123. PMID: 2313529. PubMed
  3. 3. Carter-Hanson C, Gadbury-Amyot C, Killoy W. Comparison of the plaque removal efficacy of a new flossing aid (Quik Floss) to finger flossing. J Clin Periodontol. 1996;23(9):873-8. doi:10.1111/j.1600-051x.1996.tb00626.x. PMID: 8891940. PubMed
  4. 4. Kleber CJ, Putt MS. Formation of flossing habit using a floss-holding device. J Dent Hyg. 1990;64(3):140-3. PMID: 2280268. PubMed
  5. 5. Ong G. The effectiveness of 3 types of dental floss for interdental plaque removal. J Clin Periodontol. 1990;17(7 Pt 1):463-6. doi:10.1111/j.1600-051x.1990.tb02345.x. PMID: 2167327. PubMed
  6. 6. Hujoel PP, Cunha-Cruz J, Banting DW, Loesche WJ. Dental flossing and interproximal caries: a systematic review. J Dent Res. 2006;85(4):298-305. doi:10.1177/154405910608500404. PMID: 16567548. PubMed
  7. 7. Worthington HV, MacDonald L, Poklepovic Pericic T, Sambunjak D, Johnson TM, Imai P, et al. Home use of interdental cleaning devices, in addition to toothbrushing, for preventing and controlling periodontal diseases and dental caries. Cochrane Database Syst Rev. 2019;4(4):CD012018. doi:10.1002/14651858.CD012018.pub2. PMID: 30968949. PubMed

出典はPubMed収載の書誌情報にもとづき、バンクーバー方式(ICMJE)で記載しています。