フロスはどれを選べばいいの?
ワックス付き・糸ようじ・テープを比較
フロスの種類ごとに汚れの落ち方を比べた研究では、はっきりした差は出ていません。ワックス付き・なし・繊維タイプ・ほつれにくいタイプの4種を比べた研究でも、4種類のあいだに統計的な差はなしと報告されています。一方で差がついたのは「使い心地」と「続けやすさ」のほう。つまり一番ストレスなく毎日使える形が、あなたにとっての正解です。
🔍 この記事のむずかしい言葉(タップで開く)
- (統計的に)有意
- 偶然では説明しにくい、意味のある差だと数字の上で言えること。
フロスの種類 早見表
| 種類 | 研究でわかっていること | 向いている人 |
|---|---|---|
| ワックス付き | 汚れ落ちは他タイプと差なし。使う人の好みは多数派 | 歯のすき間がきつく、糸が切れやすい人 |
| ワックスなし | 汚れ落ちは差なし。使い心地の評価は最も低かった | きしむ感触が好みの人 |
| 糸ようじ(ホルダー型) | 手巻きと清掃効果は同等。習慣になりやすい | 奥歯に指が入りにくい人・続かない人 |
| デンタルテープ(平たい) | ワックス付きとの差は統計的に確認されず | 歯のすき間が比較的広い人 |
| 拡張タイプ(部分的に太い糸) | テープより成績が低く、選ぶ人も少なかった | ブリッジの下など特殊な場所 |
※いずれも参加者20〜30人規模の小さな研究です。「差が出なかった」は「差が絶対にない」という意味ではなく、この規模では差を見つけられなかったということです。
「ワックスなしのほうがよく取れる」は本当か
フロス売り場で長く語られてきた説に、「ワックスが付いていないほうが糸が広がるので、よく汚れを落とす」というものがあります。これを実際に確かめたのが上の Carr らの研究です。24人がワックス付き・ワックスなし・繊維タイプ・ほつれにくいタイプの4種類すべてを使い、歯と歯の間の汚れの落ち具合を比べました。
結果は、4種類のあいだに統計的な差なし。差がついたのは使い心地の評価で、ワックスなしが最も不快と評価されました。1990年に200人規模で選好を調べた研究の著者も、「ワックスなしが優れているという裏づけのない思い込みが今日まで残っている」と、はっきり書いています。
糸ようじ(ホルダー型)は"手抜き"なのか
指に巻くフロスに比べて、柄のついた糸ようじは簡易版のように思われがちです。ところが30人を対象に両方を順番に使わせた試験では、汚れ・歯ぐきの炎症・出血のいずれも、両群のあいだに差はありませんでした(どちらの方法でも、使う前と比べれば有意に改善しています)。参加者の55%は糸ようじのほうを選びました。
さらに興味深いのが、そのあとの追跡調査です。もともとフロスをしていなかった人のうち、6か月後も週2回以上フロスを続けていた人の85%が、糸ようじ型を使っていました。効果が同じなら、続く形を選んだほうが得ということになります。
子どもを対象にした研究をまとめた解析では、専門家がフロスをかけた場合はむし歯のリスクが40%減ったのに対し、本人が自己流でフロスをした場合はリスクが減りませんでした。つまり「フロスを買ったかどうか」ではなく「歯の面にきちんと当てられているかどうか」で結果が変わります。どの種類を選ぶかで悩む時間があれば、一度歯科医院で当て方を見てもらうほうが確実です。
種類ごとの優劣がはっきりしないというのは、裏を返せば好きな形を選んでいいということです。フロスを毎日している人は3割ほどという調査もあり、最大の課題は種類選びではなく「続かないこと」。奥歯で手がつりそうになるなら糸ようじへ、糸が切れてイライラするならワックス付きへ。変えていいと知っているだけで、続けやすくなります。
- ワックス付き・なし・繊維・ほつれにくいタイプの4種で汚れ落ちに統計的な差はなかった
- 「ワックスなしのほうがよく取れる」は裏づけのない通説と研究者自身が指摘している
- 糸ようじ(ホルダー型)は手巻きと効果が同等で、習慣として続きやすい
- 種類より大事なのは正しく当てられているか。自己流ではむし歯予防効果が確認されなかった
※本記事は公開されている学術論文をもとにした一般的な情報提供であり、特定の治療・製品の効果を保証するものではありません。気になる症状がある場合は歯科医院にご相談ください。
参考文献
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出典はPubMed収載の書誌情報にもとづき、バンクーバー方式(ICMJE)で記載しています。