ホーム / 昔の常識 vs 最新 / 乳歯のシーラント
PRこの記事は広告(アフィリエイトリンク)を含みます
昔の常識 vs 最新 2026年7月20日 読了 約4分

乳歯のシーラントは本当に効く?
最新の研究で見直し

奥歯の溝を樹脂でふさぐ「シーラント(予防充填)」。永久歯では、むし歯予防効果がしっかり確認された定番の予防処置です。では乳歯(子どもの奥歯)ではどうでしょうか。じつは最近のレビューは、「乳歯に限ると証拠がまだ薄い」という慎重な結論を出しています。
先に結論

2020年のシステマティックレビュー(RCT7件)は、乳歯(乳臼歯)のシーラントについては「効果を判断できるだけの質の高いRCTが不足している」と結論づけました。材料どうしを比べると、レジン系はグラスアイオノマー系より「くっつき続けやすさ(残存率)」で優れる一方、24か月のむし歯抑制では両者に有意差はなかったと報告されています。
ただしこれは「乳歯に限った話」で、「効かない」という意味ではありません。永久歯のシーラントは有効性が確立しています。乳歯では、シーラント単独に頼らずフッ素+毎日のケアを土台にするのが現実的です。

出典:Lam PPY, et al. Effectiveness of Pit and Fissure Sealants for Preventing and Arresting Occlusal Caries in Primary Molars: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Evid Based Dent Pract. 2020 PMID: 32473795

「昔の常識」と「最新の見直し」

ポイントこれまでの理解最新レビューの指摘(乳歯)
効果の確からしさ子どもの奥歯に広く有効乳歯では質の高いRCTが不足し、断定できない
材料の残存率あまり意識されないレジン系が明確に優れる(18か月時点)
むし歯抑制の差材料で差がある印象24か月ではレジン系とグラスアイオノマー系で有意差なし
永久歯との関係同じように語られがち永久歯は有効性が確立。乳歯とは分けて考える

※「有意差なし」は「まったく差がない」の証明ではなく、今ある研究では差を示せなかったという意味です。研究数が少ないこと自体が、今回の慎重な結論の背景にあります。

Qじゃあ乳歯にシーラントはしない方がいいの?
A
現役歯科医師が回答そうではありません。「乳歯での効果を強く支持する高品質な証拠がまだ足りない」というだけで、溝が深い・むし歯リスクが高いお子さんでは選択肢になります。大切なのは、シーラントを“貼れば安心”の魔法ではなく、フッ素や仕上げみがきと組み合わせる一手段と捉えること。取れていないかの定期チェックもセットです。
数字で見る:材料による「残存率」の違い(18か月)
出典:Lam 2020(J Evid Based Dent Pract)PMID:32473795。乳臼歯での平均残存率。なお24か月のむし歯抑制では両材料に有意差は認められませんでした。
85.9%
レジン系の残存率
23.2%
グラスアイオノマー系の残存率
差なし
24か月のむし歯抑制の比較
レジン系シーラントの残存率
85.9%
グラスアイオノマー系の残存率
23.2%
「残存率が高い」=「むし歯を防げる」ではない

レジン系はよく残りますが、今回のレビューでは残存率の差がそのままむし歯抑制の差にはつながっていませんでした。つまり「よく残る材料を選べば安心」とは言い切れません。乳歯は生え変わりまでの期間が限られるため、材料選び以上に、日々のフッ素ケアとリスク管理が効いてきます。

広告以下は広告リンクです。購入により当サイトに収益が発生する場合があります。
おうちでできる土台のケア 乳歯のむし歯を防ぐ毎日の道具
子ども用フッ素歯磨き粉
年齢に合った濃度・量で、奥歯の溝を守る土台
仕上げみがき用歯ブラシ
奥歯の溝まで届く、保護者の仕上げみがき用
子ども用フロス(ホルダー型)
歯と歯の間の、溝以外のリスク部位をケア
※価格・在庫は各サイトでご確認ください。上記は商品タイプ別の検索リンクです(広告)。シーラント処置自体は歯科医院で受けるものです。
乳歯は「処置」より「日々の予防」がまず土台

乳歯のシーラントは、リスクの高いお子さんでは有効な選択肢になり得ます。ただ、その効果を最大に活かすにはフッ素・仕上げみがき・甘いものの回数管理・定期健診という土台が欠かせません。処置に頼りきるより、まずはおうちのケアを整えることが、いちばん確実な予防です。

まとめ

※本記事は公開されている学術論文をもとにした一般的な情報提供であり、特定の治療・製品の効果を保証するものではありません。お子さんの歯の状態やシーラントの適応は個々に異なります。かかりつけの歯科医院にご相談ください。

参考文献

  1. 1. Lam PPY, Sardana D, Ekambaram M, Lee GHM, Yiu CKY. Effectiveness of Pit and Fissure Sealants for Preventing and Arresting Occlusal Caries in Primary Molars: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Evid Based Dent Pract. 2020;20(2):101404. doi:10.1016/j.jebdp.2020.101404. PMID: 32473795. PubMed

出典はPubMed収載の書誌情報にもとづき、バンクーバー方式(ICMJE)で記載しています。