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食育 2026年7月13日 読了 約5分

早食いの子は
太りやすい?

「うちの子、あまり噛まずにパッと飲み込んじゃう」。よく聞くお悩みです。食べる速さと子どもの体重について、日本の小学生を3年間追いかけた研究などをもとに、わかっていること・わかっていないことを整理します。
先に結論

日本の小学4年生(9〜10歳)を3年間追いかけた研究では、早食いの子が3年後に過体重になりやすい関連が、女子でみられました(男子では有意差なし)。中学1年生の調査でも、早食いはお腹まわりの肥満と関連していました。ただし研究が調べたのは「食べる速さ」であって、噛む回数ではありません。また未就学児を対象にしたデータではありません

出典:Ochiai H, et al. Relationship between Eating Quickly and Overweight: A Cohort Study of Schoolchildren in Japan. Acta Med Okayama. 2018;72(2):121-128. PMID: 29674760 / Ochiai H, et al. Eating quickly is associated with waist-to-height ratio among Japanese adolescents: a cross-sectional survey. Arch Public Health. 2016;74:18. PMID: 27162638

研究でわかっていること

日本・伊那町の小学4年生(9〜10歳)934人のうち、開始時点で過体重でなかった子を3年間追跡した研究があります。結果は男女で分かれ、女子では早食いと3年後の過体重に有意な関連がみられた一方、男子では有意な関連はみられませんでした。同じ地域の中学1年生(12〜13歳)2,136人の調査では、早食いの子はお腹まわりの肥満の指標(腹囲÷身長が0.5以上)に該当する割合が高く、オッズ比は男子2.05倍(95%信頼区間1.31〜3.23)、女子2.09倍(1.15〜3.81)でした。さらに「早食い」かつ「お腹いっぱいまで食べる」が重なった群でリスクが最も高く(男子2.67倍、女子2.59倍)、どちらか一方だけでは有意差がありませんでした。早食い単独よりも、食べ方の組み合わせが効いている可能性があります。

ここは言えない、という部分

正直にお伝えすると、これらの研究には3つの限界があります。第一に、対象は学童・思春期の子どもであり、未就学児のデータではありません。幼児にそのまま当てはめられるかは不明です。第二に、調べられたのはアンケートで答えた「食べる速さ」であって、噛む回数を数えたわけではありません。「よく噛めば痩せる」を直接示した研究ではないのです。第三に、追跡研究で女子に関連がみられたとはいえ、観察研究である以上、早食いが原因だと断定はできません。運動量や睡眠、家庭の食習慣など、測りきれていない要因が背景にある可能性が残ります。

つまり現時点で言えるのは、「早食いと体重増加に関連が観察されている」までです。それでも、ゆっくり食べる工夫はリスクが小さく、試す価値のある習慣だと考えています。

家庭でできる「ゆっくり食べる」工夫

ここからは論文の結果というより、診療の現場での実践的な提案です。叱って「よく噛みなさい」と言っても、なかなか続きません。おすすめは、食材を少し大きめ・歯ごたえのある切り方にすること。根菜やきのこ、火の通しすぎない野菜など、自然と噛む回数が増える食材を一品足すだけでも、食べるペースは落ちます。テレビやスマホを消して食事に集中できる環境を整えることも役立ちます。上の研究で「お腹いっぱいまで食べる」が重なるとリスクが高かったことを踏まえると、おかわりを前提にしない盛り方も一案でしょう。なお、奥歯がしっかり生えているか、むし歯で片側だけで噛んでいないか——うまく噛めない背景に歯の問題が隠れていることもあるので、気になれば検診で確認しましょう。

Qうちの子、どうしても早食いです。まず何から?
A
現役歯科医師が回答回数を数えさせるより、食材の切り方を変えるほうが自然です。噛みごたえのある食材を一品加え、「ながら食べ」をやめるだけでもペースは落ちます。体重が急に増えている、逆に食べる量が極端に少ない、といったときは、噛み方の問題にとどまらないこともあるので、かかりつけに相談してください。
早食いのクセを放っておくと…

学童を対象にした日本の追跡研究では、早食いの女子は3年後に過体重になる割合が高いという関連が報告されています(男子では有意差なし)。食べ方のクセは大人になっても続きやすいものです。また、うまく噛めない背景にむし歯や奥歯の問題が隠れていることもあります。

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早めに整えるメリット

食材の切り方を少し大きめ・歯ごたえのある形に変え、「ながら食べ」をやめるだけで、食べるペースは自然と落ちます。ゆっくり食べる習慣は、満腹感が追いついて食べすぎを防ぐ助けになると考えられています(メカニズムとしての説明であり、噛む回数と体重の因果を示した研究があるわけではありません)。手間もリスクもほとんどない工夫です。

まとめ

※本記事は公開されている学術論文をもとにした一般的な情報提供であり、特定の治療・製品の効果を保証するものではありません。気になる症状がある場合は歯科医院にご相談ください。

参考文献

  1. 1. Ochiai H, Shirasawa T, Nanri H, Nishimura R, Hoshino H, Kokaze A. Relationship between Eating Quickly and Overweight : A Cohort Study of Schoolchildren in Japan. Acta Med Okayama. 2018;72(2):121-128. doi:10.18926/AMO/55852. PMID: 29674760. PubMed
  2. 2. Ochiai H, Shirasawa T, Nanri H, Nishimura R, Matoba M, Hoshino H, et al. Eating quickly is associated with waist-to-height ratio among Japanese adolescents: a cross-sectional survey. Arch Public Health. 2016;74:18. doi:10.1186/s13690-016-0130-3. PMID: 27162638. PubMed

出典はPubMed収載の書誌情報にもとづき、バンクーバー方式(ICMJE)で記載しています。