「30回噛みなさい」って
本当に効果あるの?
ある研究では、ひと口を40回噛んだ場合、15回のときと比べてエネルギー摂取量が減り、食後の「空腹ホルモン」も低下したと報告されています。つまりよく噛むと食べ過ぎを抑える方向に働く可能性が示されています。「30回」という数字自体に厳密な根拠があるわけではありませんが、ゆっくり噛む習慣は理にかなっていると言えます。
「よく噛む」と食べ過ぎが減る仕組み
上記の研究では、参加者にひと口あたりの咀嚼回数を15回と40回で変えて食事をしてもらい、摂取量やホルモンの変化を比べました。その結果、40回よく噛んだときのほうが食べる量(エネルギー摂取)が少なくなり、食後の「グレリン」という空腹を促すホルモンが下がる一方、満腹に関わるシグナルはより保たれる傾向が示された、と報告されています。
私たちの脳が「お腹いっぱい」と感じるまでには少し時間差があります。早食いだと、満腹サインが届く前にどんどん食べてしまい、結果的に食べ過ぎやすい。よく噛んでゆっくり食べると、食事の時間が延びて満腹感が追いつくため、自然と量が抑えられると考えられています。「回数」そのものより、結果としてゆっくり食べることが効いている、というのが実態に近いでしょう。
歯科の視点:噛めることが前提
歯科医師として付け加えたいのは、「よく噛む」には健康な歯とあごが必要だということです。奥歯を失っていたり、合わない入れ歯だったり、歯周病でぐらつきがあると、そもそもよく噛めません。噛む力が落ちると、やわらかいものに偏り、栄養バランスも崩れがちです。よく噛む習慣を活かすためにも、噛める口を保つことが土台になります。
脳が「お腹いっぱい」と感じるまでには時間差があります。早食いだと満腹サインが届く前に食べ進めてしまい、食べ過ぎにつながりやすいと考えられています。噛めない歯や合わない入れ歯を放置すると、やわらかいものに偏り栄養バランスも崩れがちです。
よく噛んでゆっくり食べると食事の時間が延び、満腹感が追いついて自然と量が抑えられる方向に働くと報告されています。ひと口ごとに箸を置くなど、続けやすい工夫から始めるのがおすすめです。
- よく噛む(40回)と食べる量と空腹ホルモンが下がったと報告されている
- 「30回」の数字よりゆっくり食べることがポイント
- そもそもよく噛める歯・あごを保つのが土台
※本記事は公開されている学術論文をもとにした一般的な情報提供であり、特定の治療・製品の効果を保証するものではありません。気になる症状がある場合は歯科医院にご相談ください。
参考文献
- 1. Zhu Y, Hollis JH. Increasing the number of chews before swallowing reduces meal size in normal-weight, overweight, and obese adults. J Acad Nutr Diet. 2014;114(6):926-931. doi:10.1016/j.jand.2013.08.020. PMID: 24215801. PubMed
出典はPubMed収載の書誌情報にもとづき、バンクーバー方式(ICMJE)で記載しています。