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顎関節症にマウスピースは
効くの?
あごが痛い、口を開けるとカクッと音がする、大きく開かない——顎関節症のとき、歯科でよく作られる「スプリント(マウスピース)」。実際どのくらい効くのか、研究をもとに正直に整理します。
先に結論
33のRCTをまとめた解析では、スプリントは短期的にはあごの痛みを軽減する効果が示されました(痛みの改善オッズ比2.08)。ただし長期では、スプリントをしない場合や他の治療との明確な差はなくなると報告されています。Cochraneも「使う・使わないを強く言えるだけの証拠は不十分」と慎重です。つまり「まず試す価値はあるが、万能ではない」。歯を削るような不可逆的な処置に飛びつかず、可逆的で保存的な対応から始めるのが基本です。
出典:Kuzmanovic Pficer J, et al. Occlusal stabilization splint for TMD: Meta-analysis. PLoS One. 2017 PMID: 28166255/Al-Ani MZ, et al. Stabilisation splint therapy for TMD. Cochrane. 2004 PMID: 14973990
スプリントでわかっていること
| ポイント | 研究でわかっていること |
|---|---|
| 短期の痛み | 軽減にプラスの効果(痛み改善オッズ比2.08・痛みの強さも低下) |
| 長期の効果 | しない場合や他療法との差ははっきりしない |
| 総合評価 | 「効くとも効かないとも強くは言えない」=慎重(Cochrane) |
| 大切なこと | 可逆的・保存的な対応が基本。不可逆な処置は慎重に |
※顎関節症の痛みは、自然に軽快することも多い症状です。まずは負担を減らす生活の工夫が土台になります。
Q市販のマウスピースを買って自分で使ってもいい?
A
現役歯科医師が回答自己判断はおすすめしません。顎関節症の症状は原因もタイプもさまざまで、合わないマウスピースを使うと、かみ合わせが変わったり症状が悪化することがあるからです。市販品は歯ぎしりからの保護には使えても、顎関節症の治療用としては歯科での診査と調整が前提。まずは歯科・口腔外科で原因を診てもらうことから始めてください。強い痛み・開口障害があれば早めに受診を。
数字で見る:スプリントの効果
出典:Kuzmanovic Pficer 2017(PLoS One, PMID:28166255)。33のRCTを統合。短期は痛み軽減に有効、長期は差が縮む。
33RCT
統合された無作為化比較試験
短期◎
痛み軽減(オッズ比2.08)
長期→差なし
他療法・無治療との差は不明瞭
「不可逆的な治療」に飛びつかない
顎関節症では、歯を大きく削る・かみ合わせを作り変えるといった元に戻せない治療は、慎重であるべきとされています。多くは、スプリント・生活指導・セルフケア・必要に応じた理学療法や認知行動療法(CBT)といった可逆的で保存的な方法で対応します。「一度で治す」をうたう不可逆な処置には注意しましょう。
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あごの負担を減らすセルフケア
まずは保存的にできること
※価格・在庫は各サイトでご確認ください。上記は商品タイプ別の検索リンクです(広告)。市販マウスピースは歯ぎしり保護用で、顎関節症の治療は歯科・口腔外科にご相談ください。
「保存的に・原因から」がいちばんの近道
顎関節症は、あごへの負担(食いしばり・頬杖・固い物・ストレス)を減らすだけで軽くなることも多い症状です。スプリントは短期の痛みに有用な選択肢のひとつですが、まずは原因を診てもらい、元に戻せる方法から。強い痛み・開口障害・かみ合わせの急変があれば、早めに歯科・口腔外科を受診してください。
まとめ
- スプリントは短期の痛み軽減に有効(33RCT・痛み改善オッズ比2.08)
- 長期では他療法・無治療との差は不明瞭(Cochraneも慎重)
- 市販品の自己使用は非推奨。歯を削る不可逆な治療は慎重に
- まずは負担を減らす生活+歯科での診査から
※本記事は公開されている学術論文をもとにした一般的な情報提供であり、特定の治療・製品の効果を保証するものではありません。症状・原因は個々に異なります。あごの痛みや開口障害が続く場合は歯科・口腔外科にご相談ください。
参考文献
- 1. Kuzmanovic Pficer J, Dodic S, Lazic V, Trajkovic G, Milic N, Milicic B. Occlusal stabilization splint for patients with temporomandibular disorders: Meta-analysis of short and long term effects. PLoS One. 2017;12(2):e0171296. doi:10.1371/journal.pone.0171296. PMID: 28166255. PubMed
- 2. Al-Ani MZ, Davies SJ, Gray RJ, Sloan P, Glenny AM. Stabilisation splint therapy for temporomandibular pain dysfunction syndrome. Cochrane Database Syst Rev. 2004;(1):CD002778. doi:10.1002/14651858.CD002778.pub2. PMID: 14973990. PubMed
- 3. Liu HX, Liang QJ, Xiao P, Jiao HX, Gao Y, Ahmetjiang A. The effectiveness of cognitive-behavioural therapy for temporomandibular disorders: a systematic review. J Oral Rehabil. 2012;39(1):55-62. doi:10.1111/j.1365-2842.2011.02239.x. PMID: 21827522. PubMed
出典はPubMed収載の書誌情報にもとづき、バンクーバー方式(ICMJE)で記載しています。