歯型取りが光スキャンに?
口腔内スキャナーの精度は?
この記事の主な根拠は、歯が1本もない顎(無歯顎)を総入れ歯づくりのためにスキャンした12研究をまとめたレビューです。そこでは、粘膜がしっかり付着した硬い部分では、従来の型取りに匹敵する精度と報告されました。一方でよく動く部分(辺縁や軟口蓋)では誤差が大きく、著者らは「辺縁や軟口蓋の読み取りは慎重に」と結論しています。歯が残っている場合のスキャン精度を調べた研究ではない点にご注意ください。
「硬い所は得意、動く所は苦手」ってどういうこと?
スキャナーは、口の中を小型カメラでなぞりながら無数の画像をつなぎ合わせて立体データを作ります。歯のように形が変わらず輪郭がはっきりした対象は、目印が多く画像を正確につなげられるため、従来の型取りに引けを取らない精度が出ます。上のレビューでも、硬組織では従来法に匹敵すると示されました。
反対に苦手なのが、歯ぐきの縁や入れ歯が乗るような、押すと形が動く粘膜。目印になる特徴が乏しく、少し動くだけで画像のつなぎ目にズレが生じ、誤差が広がりやすくなると報告されています。つまり被せ物やインプラントの上部設計には強い一方、総入れ歯のような広い粘膜面ではまだ工夫が必要、というのが現在地です。撮るだけで型取りの不快感が減るメリットは大きく、適材適所で活用が進んでいます。
スキャナーは万能ではなく、歯ぐきの縁や入れ歯が乗る動く粘膜では誤差が広がりやすいと報告されています。装置の有無だけで医院を選ぶより、どんな時にスキャンと従来の型取りを使い分けるかを説明してくれるかを見るほうが、合わない被せ物を避ける近道です。
- IOSは硬組織では従来の型取りに匹敵する精度と報告
- 動く粘膜では誤差が拡大しやすく、使いどころを選ぶ
- 被せ物・インプラント上部に強く、適材適所で活用が進む
※本記事は公開されている学術論文をもとにした一般的な情報提供であり、特定の治療・製品の効果を保証するものではありません。気になる症状がある場合は歯科医院にご相談ください。
参考文献
- 1. Srivastava G, Padhiary SK, Mohanty N, Molinero-Mourelle P, Chebib N. Accuracy of Intraoral Scanner for Recording Completely Edentulous Arches-A Systematic Review. Dent J (Basel). 2023;11(10). doi:10.3390/dj11100241. PMID: 37886926. PubMed
出典はPubMed収載の書誌情報にもとづき、バンクーバー方式(ICMJE)で記載しています。