子どもの歯並び、
乳歯のうちからどうするの?
不正咬合(歯並び・かみ合わせのズレ)の世界的な有病率は約54%と報告されており、決して珍しいものではありません。しかもその多くは乳歯列の段階から早期にあらわれるとされます。つまり「乳歯だから関係ない」わけではなく、気になるサインは早めに歯科でチェックしておくのが安心です。
乳歯のうちに見ておきたいサイン
私が診療で乳歯のかみ合わせを見るとき、チェックしているのは「歯を並べる」ことより「あご・くせ・スペース」の3点です。乳歯がガタガタでないのに永久歯で急に凸凹する子は、あごの発育や指しゃぶり・口呼吸といった土台に原因が隠れていることが多いからです。
| 気になるサイン | 見ているポイント |
|---|---|
| 受け口(下の歯が前) | 乳歯期でも経過観察・相談の対象になりやすい |
| 上の前歯が強く出ている | 指しゃぶり・口呼吸のくせが背景にあることも |
| 奥歯だけ左右でかみ合わない | あごのズレ(交叉咬合)のサイン |
| 乳歯がすき間なくピッタリ | 永久歯の並ぶスペース不足につながることがある |
意外に思われますが、乳歯の前歯にすき間がある方が「正常」のことが多いです。大きな永久歯が並ぶための余白なので、「すきっ歯だから治さなきゃ」と焦る必要はありません。
「今すぐ治す」より「今は見守る」場面も多い
大切なのは、有病率が高い=全員が今すぐ矯正、という話ではないことです。乳歯期は経過を見て、永久歯やあごの成長に合わせて治療の「始めどき」を判断します。指しゃぶりや口呼吸などのくせを整えるだけで改善に向かうケースもあります。だからこそ、自己判断でゴールを決めず、一度プロの目を入れておく価値があるのです。
不正咬合の多くは乳歯列の段階から早期にあらわれるとされます。受け口・強い出っ歯・奥歯の左右差などは、指しゃぶりや口呼吸といったクセ、あごの発育が背景にあることも。始めどきを逃すと選べる対応が狭まることがあるため、気になるサインは早めに確認を。
3歳前後の健診で一度プロの目を入れておくと、「今は様子見でいい」か「早めに動く」かを見極められます。多くはその場で「まだ大丈夫」と分かるだけでも、親御さんの不安がぐっと減ります。焦って装置をつける必要はありません。
- 不正咬合の世界的な有病率は約54%と報告され、珍しくない
- 多くは乳歯列の段階から早期にあらわれる
- 乳歯期は「今すぐ治す」より始めどきの見極めが大事。気になるサインは早めに相談を
※本記事は公開されている学術論文をもとにした一般的な情報提供であり、特定の治療・製品の効果を保証するものではありません。気になる症状がある場合は歯科医院にご相談ください。
参考文献
- 1. Lombardo G, Vena F, Negri P, Pagano S, Barilotti C, Paglia L, et al. Worldwide prevalence of malocclusion in the different stages of dentition: A systematic review and meta-analysis. Eur J Paediatr Dent. 2020;21(2):115-122. doi:10.23804/ejpd.2020.21.02.05. PMID: 32567942. PubMed
出典はPubMed収載の書誌情報にもとづき、バンクーバー方式(ICMJE)で記載しています。