MFT(口の体操)ってどうするの?
歯並びに効くの?
MFTを矯正治療に併用する効果を調べたシステマティックレビューは、「それを支持する科学的エビデンスは乏しい」と結論しています。355件の論文のうち条件を満たしたのはわずか4件で、その4件すべてがバイアスリスク高と評価されました。つまり効果が否定されたのではなく、判断できるだけの質の高い研究がまだ存在しないという状態です。MFTは舌やくちびるの使い方・飲み込み方のクセを整える取り組みで、歯科医院で指導を受けながら行うものですが、「歯並びが良くなる」と期待して始めるものではありません。
MFTって具体的に何をするの?
MFT(Oral Myofunctional Therapy)は、舌・くちびる・頬の筋肉の使い方を整える訓練です。ねらいはシンプルで、「安静時に舌が上あごに軽く触れている」「くちびるが自然に閉じている」「正しく飲み込める」という本来あるべき口の状態を身につけること。具体的には、舌先を上あごのスポットに当てて保つ、舌で弾いて音を出す(ポッピング)、ボタンを唇でくわえて引っぱるなど、遊びに近いメニューを毎日少しずつ続けます。
なぜ歯並びと関わるかというと、歯は「内側の舌」と「外側のくちびる・頬」の力のバランスの中に並んでいるからです。舌が低い位置にあったり、飲み込むたびに前歯を押すクセがあると、歯を動かしてもまた押し戻される力が働きます。ただし、この理屈が実際の治療結果に結びつくかを確かめた質の高い研究は、上のレビューが示すとおりまだ足りていません。理屈として筋が通ることと、効果が確かめられていることは別です。
効果を出すコツと限界
正直にお伝えすると、MFTは「やれば必ず歯が並ぶ」魔法ではありません。効果を左右するのは、なにより継続です。1日数分でも毎日、そして正しいやり方でというのが条件。だからこそ、自己流の動画だけで進めるより、歯科の指導のもとでチェックを受けながら行うほうが確実です。指しゃぶりや口呼吸など背景のクセがあれば、そちらのケアも並行します。あくまで矯正や成長のサポート役、という前提で取り組むと過度な期待でつまずきません。
舌が低い位置にあったり、飲み込むたびに前歯を押すクセが残ると、矯正で歯を動かしてもまた押し戻される力が働きます。背景の口呼吸や指しゃぶりを整えないままだと、後戻りしやすくなることも。MFTは自己流の動画だけで進めるより、歯科の指導のもとで正しく続けるのが確実です。
1日数分でも正しいやり方で続けると、MFTは矯正の効果を支えたり後戻りを抑える助けになると報告されています。口のクセそのものを整えられる価値も大きく、成長のサポート役として取り組むと過度な期待でつまずきません。
- MFT併用の効果は「エビデンスが乏しい」と結論(該当4件すべてバイアスリスク高)
- 歯は舌とくちびるの力のバランスの中に並んでいる
- 効果のカギは正しいやり方での継続、歯科の指導のもとで
※本記事は公開されている学術論文をもとにした一般的な情報提供であり、特定の治療・製品の効果を保証するものではありません。気になる症状がある場合は歯科医院にご相談ください。
参考文献
- 1. Homem MA, Vieira-Andrade RG, Falci SG, Ramos-Jorge ML. Effectiveness of orofacial myofunctional therapy in orthodontic patients: a systematic review. Dental Press J Orthod. 2014;19(4):94-9. doi:10.1590/2176-9451.19.4.094-099.oar. PMID: 25279527. PubMed
出典はPubMed収載の書誌情報にもとづき、バンクーバー方式(ICMJE)で記載しています。