母乳育児って歯並びにいいの?
論文で見る母乳と歯並び
母乳栄養は不正咬合(歯並び・かみ合わせの乱れ)のリスクを下げると報告されています。48研究をまとめたメタ解析の結果です。ただし「母乳なら歯並びが必ず整う」という保証ではなく、指しゃぶりや口呼吸など、その後の習慣も大きく関わります。
なぜ母乳が歯並びと関係するの?
母乳を飲むときは、赤ちゃんが舌と唇、あごをしっかり動かして吸います。この「よく動かす」経験が、あごや口まわりの筋肉の発達につながると考えられています。研究では、母乳で育った子のほうが、開咬(前歯がかみ合わない)や過蓋咬合、交叉咬合などの不正咬合が少ない傾向が示されました。哺乳びんに比べて吸う動きが大きいことが一因とみられています。
とはいえ、これは集団で見たときの「リスクの差」であって、母乳だから安心・ミルクだから悪い、という単純な話ではありません。ミルク育児でも問題なく育つお子さんはたくさんいます。
歯並びに本当に効くのは「卒乳後の習慣」
歯科の現場でより影響が大きいと感じるのは、その後の習慣です。長く続く指しゃぶり、口をポカンと開けた口呼吸、頬づえなどは、歯並びを乱す方向に働きます。母乳・ミルクの選択で悩むより、こうした習慣を早めに見直すほうが実利的です。授乳の姿勢に無理がある、体重の伸びが心配、といった場合は自己判断せず、小児科や助産師、歯科に相談してください。
長く続く指しゃぶり・口呼吸・頬づえは、歯並びを乱す方向に働きます。母乳かミルクかで悩むより、こうした習慣を放置しないことのほうが実利的。気づかず続くほど、あとの矯正の負担が大きくなりがちです。
歯並びに効くのは授乳法より卒乳後の習慣ケア。指しゃぶりや口呼吸に早めに気づいて整えていくほど、将来の歯並びトラブルを避けやすくなると考えられています。
- メタ解析で母乳栄養は不正咬合のリスクを下げると報告
- ただし集団での差で、母乳=必ず良い歯並び、ではない
- 実際に効くのは指しゃぶり・口呼吸など卒乳後の習慣のケア
※本記事は公開されている学術論文をもとにした一般的な情報提供であり、特定の治療・製品の効果を保証するものではありません。気になる症状がある場合は歯科医院にご相談ください。
参考文献
- 1. Peres KG, Cascaes AM, Nascimento GG, Victora CG. Effect of breastfeeding on malocclusions: a systematic review and meta-analysis. Acta Paediatr. 2015;104(467):54-61. doi:10.1111/apa.13103. PMID: 26140303. PubMed
出典はPubMed収載の書誌情報にもとづき、バンクーバー方式(ICMJE)で記載しています。