インプラントって
何年もつの?
10年以上追跡した研究をまとめた解析では、インプラントの累積生存率は約94.6%だったと報告されています。つまり10年時点で9割以上が機能を保っていた計算ですが、これは「絶対に一生もつ」という意味ではなく、その後のメンテナンス次第という点が重要です。
「生存率」と「長持ち」を分けるもの
まず用語の整理です。生存率(survival)とは「インプラントが抜けずに口の中で機能し続けている割合」を指します。上の解析で示された約94.6%は、10年以上を追った研究をまとめた数字であり、多くの人にとって長期にわたり使える治療であることを裏づけています。ただし、生存している=まったくトラブルがない、とは限りません。骨の吸収や周囲の炎症を抱えたまま「生存」しているケースも含まれるためです。
では、この数字を自分のものにできるかを分けるのは何か。大きいのは日々の清掃とプロによる定期メンテナンスです。インプラントには天然の歯根膜がなく、周囲の組織は感染に対してやや不利とされます。プラークが溜まると「インプラント周囲炎」を起こし、それが失敗の主な原因のひとつになります。加えて、喫煙・コントロール不良の糖尿病・強い歯ぎしりなどもリスクを高めると考えられています。入れて終わりではなく、入れてからが本番——これがインプラントの寿命を左右する現実的なポイントです。
インプラントには天然歯のような歯根膜がなく、プラークが溜まると「インプラント周囲炎」で支えの骨がじわじわ溶けます。自覚症状が出にくく、痛みが出た頃には手遅れになりやすいのが怖いところ。生存率9割超はケアを続けた人の数字だという点を忘れないでください。
高額な治療だからこそ、毎日の清掃と定期メンテを続けることで10年後も9割超が機能を保つという数字を自分のものにしやすくなります。「入れて終わり」ではなく「入れてからが本番」と考えるのが結果的に一番おトクです。
- 10年以上の追跡で累積生存率は約94.6%と報告されています
- 「生存」=無トラブルではなくメンテナンス次第
- 専用ブラシ+定期通院で周囲炎を防ぐのが延命のカギ
※本記事は公開されている学術論文をもとにした一般的な情報提供であり、特定の治療・製品の効果を保証するものではありません。気になる症状がある場合は歯科医院にご相談ください。
参考文献
- 1. Moraschini V, Poubel LA, Ferreira VF, Barboza Edos S. Evaluation of survival and success rates of dental implants reported in longitudinal studies with a follow-up period of at least 10 years: a systematic review. Int J Oral Maxillofac Surg. 2015;44(3):377-88. doi:10.1016/j.ijom.2014.10.023. PMID: 25467739. PubMed
出典はPubMed収載の書誌情報にもとづき、バンクーバー方式(ICMJE)で記載しています。