根管治療の成功率ってどのくらいなの?
論文で見る歯内療法
初回根管治療の成功率は基準により約68〜85%と報告されています。「治った」とみなす判定基準を厳しくするか緩めるかで数字は変わりますが、初めての治療なら決して低くない確率で良い結果が得られるのが実際のところです。
「成功」の数字が幅を持つ理由
根管治療の成功率が「68〜85%」と幅で語られるのは、何をもって成功と呼ぶかが研究ごとに違うからです。レントゲンで根の先の病変が完全に消えた状態を成功とする厳しい基準(strict criteria)だと数字は下がり、症状がなく機能していればよいという緩い基準(loose criteria)だと上がります。系統的レビューでは、この判定基準の違いが結果に大きく影響したと報告されています。
臨床の実感としても、患者さんにとって大事なのは「噛めて、痛みがなく、抜かずに済む」こと。厳密な画像上の治癒と、日常の困りごとが消える成功とは、必ずしもイコールではありません。
成功を左右する条件
同じレビューでは、術前に根の先の病変(根尖病変)があるかどうか、根管がしっかり緊密に詰められているか、被せ物で確実に封鎖されているか、といった要素が結果に関わると報告されています。つまり治療そのものだけでなく、その後の被せ物までを含めた「歯を守る一連の流れ」が成否を分けます。神経の治療が終わったあと放置して被せ物を入れないと、そこから細菌が入り台無しになることもあります。
神経の治療が終わっても、被せ物で確実に封鎖しないとそこから細菌が入り再感染し、成功率を大きく下げます。再治療は内部が複雑で初回よりハードルが上がり、最悪の場合は抜歯に。痛みが引いても自己判断で通院を中断しないことが肝心です。
初回の治療は再治療より良い結果が得られやすく、被せ物までしっかり仕上げれば決して低くない確率で歯を残せます。最初をていねいに終えることが、やり直しの負担を避け、長く自分の歯で噛み続ける一番の近道です。
- 初回根管治療の成功率は基準により約68〜85%と報告
- 数字の幅は「成功」の判定基準の違いによるもの
- 根尖病変の有無や被せ物までの封鎖が成否を左右する
※本記事は公開されている学術論文をもとにした一般的な情報提供であり、特定の治療・製品の効果を保証するものではありません。気になる症状がある場合は歯科医院にご相談ください。
参考文献
- 1. Ng YL, Mann V, Rahbaran S, Lewsey J, Gulabivala K. Outcome of primary root canal treatment: systematic review of the literature - part 1. Effects of study characteristics on probability of success. Int Endod J. 2007;40(12):921-39. doi:10.1111/j.1365-2591.2007.01322.x. PMID: 17931389. PubMed
出典はPubMed収載の書誌情報にもとづき、バンクーバー方式(ICMJE)で記載しています。